介護と看護の転職エージェントは、実績をほとんど公表していない

筆者は本記事で扱うサービスを利用していません。本記事は公開情報を集計・整理したものです。 編集方針

有料職業紹介事業者は、就職者数と早期離職者数を厚生労働省へ報告することになっています。ただし報告しない選択もできます。していない場合、人材サービス総合サイト上では「-」と表示されます。

介護・看護・保育の3職種について、事業者を52社確認しました。結果は職種によってはっきり違いました。

保育士・幼稚園教員 84% 25社中21社が公表
施設介護 35% 17社中6社が公表
看護師・准看護師 30% 10社中3社が公表

介護と看護は、3社に1社しか離職者数を出していません

内訳

職種 確認した事業者 公表あり 公表なし 公表率 6か月以内の離職
保育士・幼稚園教員 25社 21社 4社 84.0% 22.6%
施設介護の職業 17社 6社 11社 35.3% 22.6%
看護師、准看護師 10社 3社 7社 30.0% 6.5%
厚生労働省 人材サービス総合サイト(令和8年8月1日現在/2026年8月12〜13日確認)。「6か月以内の離職」は、公表している事業者の合計値から当サイトが計算(離職者数 ÷ 無期雇用の就職者)。

公表していない事業者に、規模の大きい先が多い

これが一番はっきりした傾向です。介護・看護で就職者数の上位に並ぶ事業者は、ほぼ全社が離職者数を出していません。

ただし規模が大きいと必ず公表しない、というわけではありません。 当サイトが別の職種で確認した最大規模の事業者(就職者87,754人)は、離職者数を公表しています。

事業主 就職者 うち無期 6か月以内の離職 割合
エス・エム・エス 50,641 50,641 報告なし
マイナビ 31,662 27,464 報告なし
レバウェル 28,161 28,161 報告なし
クイック 10,905 10,036 報告なし
メディカルリソース 2,922 1,886 報告なし
フェスコム 2,886 2,107 報告なし
ウィルオブ・ワーク 2,802 1,574 報告なし
ディップ 2,259 1,802 報告なし
介護・看護の一覧で就職者数の上位に出てくる事業者。いずれも離職者数は「報告なし」。

表の数値は各事業者が厚生労働省へ報告した自己申告値で、国が検証・監査したものではありません。 「報告なし」は0人を意味しません。 許可は事業主単位のため、複数のサービスを運営する事業者の値は合算です。

一方、公表しているのは中規模以下の事業者が中心です。

事業主 就職者 うち無期 6か月以内の離職 割合
TSACE 4,366 4,366 1,202 27.5%
ambient 573 573 150 26.2%
ニッソーネット 387 323 65 20.1%
Act 1,896 1,896 286 15.1%
パーソルイノベーション 346 346 41 11.8%
シーマインドキャリア 807 807 77 9.5%
HR 3,556 3,556 278 7.8%
ファミリーサポート 559 559 41 7.3%
ナースパワー人材センター 8,059 4,180 63 1.5%
離職者数まで公表している事業者。

表の数値は各事業者が厚生労働省へ報告した自己申告値で、国が検証・監査したものではありません。 「報告なし」は0人を意味しません。 許可は事業主単位のため、複数のサービスを運営する事業者の値は合算です。

規模を揃えても差は残るのか

「保育の公表率が高いのは、小さい事業者を多く含んでいるからではないか」という疑問が当然出ます。当サイトも同じことを考えました。

そこで、無期雇用の就職者が1,000人以上の事業者だけに揃えて数え直しました。

職種 確認した事業者 公表あり 公表なし 公表率 6か月以内の離職
保育士・幼稚園教員 5社 2社 3社 40.0% 23.8%
施設介護の職業 8社 1社 7社 12.5% 27.5%
看護師、准看護師 10社 3社 7社 30.0% 6.5%
無期雇用の就職者が1,000人以上の事業者だけに絞ったもの。

規模を揃えると、23社中6社まで落ちます。職種による差よりも、規模による差のほうが大きいと考えるのが妥当です。

つまり、当サイトが最初に示した「保育84%/介護35%/看護30%」という差は、職種の性格の違いというより、どの規模の事業者を数えたかの違いを多く含んでいます。3職種で取得できた事業者の規模構成が違うためです。

言い切れるのは、次の1点だけです。公表していない事業者は、この指標では比較できません。 なお、規模が大きいと必ず公表しないわけではありません。当サイトが確認した中で最大規模の事業者は、離職者数を公表しています。

公表している範囲での離職率

そのうえで、公表している事業者だけを集計すると次のようになります。

  • 保育:22.6%
  • 介護:22.6%
  • 看護:6.5%

保育と介護がほぼ同じ水準で、看護は明らかに低い数字です。ただし看護で公表しているのは3社しかなく、この3社が看護領域を代表しているとは言えません。参考値として見てください。

この数字の性質

繰り返しになりますが、重要なので書いておきます。

  • 事業者の自己申告です。 国が検証・監査した数字ではありません
  • 就職者数・離職者数は事業主全体の値です。 職種別ではありません。職種で分かれているのは手数料実績率だけです
  • 「報告なし」は0人ではありません。 数字が存在しない状態です
  • 母数は当サイトが取得できた範囲です。 介護540事業所・看護526事業所のうち、無期雇用の就職者が多い順に上から確認しました。小規模の事業者は含んでいません

読者にとっての意味

大手のサービスを比べようとしても、この指標では並べられません。それは大手が悪いという話ではなく、比較の材料がそもそも公開されていないということです。

したがって現実的には、次のように使うのが妥当だと考えています。

  1. 公表している事業者は、その数字を見る。 検証はされていませんが、出していること自体は確認できる事実です
  2. 公表していない事業者は、この指標を使わずに判断する。 口コミの分布や、対応領域、雇用形態の内訳といった別の材料を見ることになります
  3. 「離職率0%」と「報告なし」を混同しない。 前者は報告値、後者は無記載です

数字はいずれも2026年8月12〜13日時点のものです。同じ手順で誰でも確認できます。

出典

  1. 職業紹介事業所検索(詳細検索:050 施設介護の職業/手数料実績率 0〜100%/全国) (2026-08-13 閲覧)
  2. 職業紹介事業所検索(詳細検索:023 看護師、准看護師/手数料実績率 0〜100%/全国) (2026-08-13 閲覧)
  3. 職業紹介事業の運営に関する情報提供(職業安定法) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-08-13

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