「転職する人が多いのは都会」を、公的データで検算する
本記事は総務省統計局の統計ダッシュボード経由で取得した公的統計を、当サイトが整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。
「転職は都会のほうが盛ん」という言い方があります。求人が多いのだから当然だ、という理屈です。
総務省の就業構造基本調査で、都道府県別の転職者比率(就業者に占める、過去1年間に転職した人の割合)を確認しました。
上位は東京都・福岡県・沖縄県・神奈川県・大阪府。たしかに都市部が並びます。
ただし、この記事で書きたいのはその先です。
全国平均を上回るのは47都道府県中9つだけ
| 上位5 | 転職者比率 | 下位5 | 転職者比率 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 5.4% | 愛媛県 | 3.3% |
| 福岡県 | 5.4% | 和歌山県 | 3.3% |
| 沖縄県 | 5.3% | 徳島県 | 3.4% |
| 神奈川県 | 5.1% | 高知県 | 3.5% |
| 大阪府 | 4.9% | 鳥取県 | 3.5% |
全国平均4.5%を上回るのは9都府県だけです。残る38道県は平均を下回ります。
平均は人口の多い地域に引っ張られるので、「多くの県は平均より低い」という状態が起きます。自分の県を全国平均と比べると、多くの人は「うちは少ない」側に入ります。
求人倍率が高い県ほど、転職者比率は低い
ここが直感と逆になった点です。
同じデータで有効求人倍率と並べると、次のようになりました。
| グループ | 有効求人倍率の平均 | 転職者比率の平均 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率が高い10県 | 1.39倍 | 3.89% |
| 有効求人倍率が低い10県 | 0.89倍 | 4.39% |
「求人が多いから転職しやすい」という説明だけでは、この向きは説明できません。
なぜそうなるかは、この数字からは分かりません
考えられることは複数あります。
- 求人倍率が高い県は人手不足が深刻で、そもそも働く人が少ない(分母が小さい)
- 都市部は産業構造が多様で、同じ地域内で移りやすい
- 有効求人倍率はハローワークの数字なので、民間サービスの利用率が高い都市部では実態を捉えきれていない
いずれも当サイトの推測です。 この2つの数字は調査の時点も対象も違うため、因果を論じる材料になりません。
言えるのは「求人倍率が高い=転職する人が多い、ではない」という事実の確認までです。
この検算の限界
- 転職者比率は2022年の調査です。 就業構造基本調査は5年ごとで、有効求人倍率(月次)とは時点が3年以上ずれています。並べて傾向を見ることはできますが、同じ時点の比較ではありません
- 「転職者」の定義は調査によります。 ここでは就業者のうち過去1年間に前職を辞めて転職した人を指します。転職活動をしたが決まらなかった人は含まれません
- 有効求人倍率はハローワークの数字です。 転職サービス経由の求人は含まれません
- 県ごとの産業構成を揃えていません。 製造業が多い県と観光業が多い県では、転職の起きやすさがそもそも違います
まとめ
- 転職者比率は全国4.5%。最高の東京都5.4%と最低の愛媛県3.3%で約1.6倍の差があります
- 上位は都市部が並び、「都会のほうが転職が多い」は方向としては合っています
- ただし全国平均を上回るのは9都府県だけで、38道県は平均を下回ります
- 有効求人倍率が高い10県の転職者比率は3.89%、低い10県は4.39%。求人が多い県ほど転職者比率が高い、という関係にはなっていません
数字は統計ダッシュボード(総務省統計局)から2026-08-14に取得したものです。この統計は毎月更新されるため、当サイトも定期的に取り直しています。
出典
- 統計ダッシュボード(総務省統計局) (2026-08-14 閲覧)
- 就業構造基本調査 (2026-08-14 閲覧)
最終更新:2026-08-14
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