「経理・会計は手に職だから安定」を、公的データで検算する

筆者は経理職ではありません。本記事は厚生労働省が公表している統計を確認・整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

「経理は手に職だから食いっぱぐれない」「簿記を取れば潰しがきく」という説明はよく見かけます。

厚生労働省の統計で確認したところ、求人と求職者の数の比という一点では、この説明とは合いませんでした。

会計事務従事者 0.56倍 有効求人17,839件 ÷ 有効求職32,122人
全職業の平均 1.01倍 有効求人2,020,228件 ÷ 有効求職2,002,441人

0.56倍。1倍を下回っており、求人より求職者のほうが多い状態です。求人1件に対して約1.8人が探している計算になります。

全職業の1.01倍と比べると、およそ半分の水準です。

求人の減り方が、確認した中で最も大きい

もう1つ、はっきりした数字があります。

会計事務従事者の有効求人は、対前年同月比で-7.9%。当サイトが前年比を確認できた10職種の中で、最も減っています(次点は一般事務従事者の-7.1%)。

参考までに、全職業は-3.4%、ITエンジニアは-5.7%でした。

倍率が低く、かつ求人が減っているという組み合わせです。「安定している」という言葉から受ける印象とは違います。

ただし、一般事務よりは倍あります

  • 建設躯体工事従事者 7.85倍
  • 土木作業従事者 5.97倍
  • 保安職業従事者 5.85倍
  • 建築・土木・測量技術者 4.96倍
  • 建設・採掘従事者 4.80倍
  • 機械整備・修理従事者 3.81倍
  • 介護サービス職業従事者 3.70倍
  • 医療技術者 2.92倍
  • 自動車運転従事者 2.42倍
  • 接客・給仕職業従事者 2.30倍
  • 社会福祉専門職業従事者 2.28倍
  • 飲食物調理従事者 2.19倍
  • 営業職業従事者 2.01倍
  • 保健師,助産師,看護師 1.86倍
  • 製造技術者(開発) 1.81倍
  • 情報処理・通信技術者 1.33倍
  • 製造技術者(開発を除く) 0.72倍
  • 会計事務従事者 0.56倍
  • 事務従事者 0.35倍
  • 一般事務従事者 0.28倍
  • 職業計(全体) 1.01倍
職業別の有効求人倍率。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表」(令和8年6月/常用・パート含む/全国計)。2026-08-13に当サイトが確認。

事務の中で比べると、位置づけが変わります。

中分類有効求人有効求職有効求人倍率
外勤事務従事者719件260人2.77倍
運輸・郵便事務従事者6,325件2,601人2.43倍
生産関連事務従事者13,993件10,961人1.28倍
営業・販売事務従事者16,513件19,202人0.86倍
会計事務従事者17,839件32,122人0.56倍
一般事務従事者120,372件425,688人0.28倍
事務用機器操作員4,908件18,783人0.26倍
事務従事者の中分類。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表」(令和8年6月)。

会計事務は7区分中5番目。一般事務(0.28倍)と比べると約2.0倍あります。

「事務職の中では相対的に有利」という言い方なら、数字と合います。 「手に職だから安定」という一般職業との比較になると、合いません。

資格職なのに倍率が低いのはなぜか

当サイトは理由を確かめる材料を持っていません。推測になるので断定はしませんが、次のような事情は考えられます。

  • 経理・会計の求人は民間の転職サービス経由が多く、ハローワークに出にくい
  • 簿記などの資格保有者が多く、求職者側の供給が厚い
  • 一社あたりの必要人数が限られている

いずれも当サイトの推測です。 確認できるのは「ハローワークの求人・求職ではこの比になっている」という事実だけです。

会計に特化した転職サービスもあります

会計・経理領域に特化した人材紹介サービスは実在します。当サイトが確認した中では、株式会社MyVisionが会計・経理向けの「ツインプロ」を運営しています(記事)。

こうした特化型サービスの求人はハローワークの統計に含まれないため、この記事の倍率が経理職の転職市場全体を表しているわけではありません。

この検算の限界

  • ハローワークの数字です。 経理・会計は民間サービス経由の転職が多いと考えられ、市場全体を表すものではありません
  • 「会計事務従事者」は経理事務・出納事務などをまとめた区分です。 経験年数や、税理士・公認会計士といった資格職とは別です
  • 倍率は求人の中身を反映しません。 給与、企業規模、求められる経験は含まれていません
  • 1か月分の断面です

まとめ

  • 会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍。求人1件に対して求職者が約1.8人います
  • 全職業(1.01倍)の約半分の水準です
  • 有効求人は前年比-7.9%で、当サイトが確認した10職種の中で最も減っています
  • ただし事務の中では5番目で、一般事務(0.28倍)の約2.0倍あります
  • ハローワークの数字なので、民間サービス経由の求人は含まれていません

数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。全職業の一覧は職業別の有効求人倍率にあります。

出典

  1. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  2. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-08-13

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