「有効求人倍率◯倍」に、パートが混ざっている

本記事は厚生労働省が公表している統計を、当サイトが比較・整理したものです。数値の加工は行っていません。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

当サイトが職業別の有効求人倍率で使っている数字は、パートタイムの求人を含んだものです。厚生労働省の参考統計表で「常用(パート含む)」と書かれている表から取っています。

同じPDFには、パートを除いた表も載っています。並べたところ、職業によって動く向きが違いました。

職業計(パート含む) 1.01倍 有効求人2,020,228件
職業計(パートを除く) 1.13倍 有効求人1,317,115件

全体では1.01倍から1.13倍へ上がります。ただしこれは全職業をならした結果です。

上がる職業と、下がる職業がある

当サイトが確認した20職業のうち、パートを除くと倍率が上がったのが15職業、下がったのが4職業でした。

下がったのは次の職業です。

  • 介護サービス職業従事者:3.70倍 → 3.42倍(-0.28)
  • 飲食物調理従事者:2.19倍 → 1.86倍(-0.33)
  • 接客・給仕職業従事者:2.30倍 → 1.62倍(-0.68)
  • 会計事務従事者:0.56倍 → 0.52倍(-0.04)

最も下がるのが接客・給仕職業従事者で-0.68、最も上がるのが建築・土木・測量技術者で+1.28です。

パート求人の割合と対応している

なぜ向きが分かれるのか。有効求人のうちパートが占める割合を計算すると、対応が見えます。

職業パート含むパートを除く求人のうちパート
接客・給仕職業従事者2.30倍1.62倍-0.6863%
飲食物調理従事者2.19倍1.86倍-0.3364%
介護サービス職業従事者3.70倍3.42倍-0.2848%
会計事務従事者0.56倍0.52倍-0.0432%
一般事務従事者0.28倍0.28倍0.0039%
事務従事者0.35倍0.36倍+0.0136%
医療技術者2.92倍2.96倍+0.0433%
情報処理・通信技術者1.33倍1.49倍+0.162%
製造技術者(開発を除く)0.72倍0.88倍+0.164%
営業職業従事者2.01倍2.17倍+0.163%
保安職業従事者5.85倍6.05倍+0.2042%
自動車運転従事者2.42倍2.72倍+0.3021%
保健師,助産師,看護師1.86倍2.17倍+0.3137%
社会福祉専門職業従事者2.28倍2.59倍+0.3136%
製造技術者(開発)1.81倍2.24倍+0.431%
機械整備・修理従事者3.81倍4.32倍+0.515%
建設・採掘従事者4.80倍5.49倍+0.692%
建設躯体工事従事者7.85倍8.55倍+0.701%
土木作業従事者5.97倍6.81倍+0.843%
建築・土木・測量技術者4.96倍6.24倍+1.282%
「差」と「求人のうちパート」は当サイトが計算した値。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表」(令和8年6月/全国計)。パート含むは参考統計表7、パートを除くは参考統計表9。

倍率が下がる職業は、いずれも求人に占めるパートの割合が高いほうに並んでいます。

介護の例

具体例を挙げます。介護サービス職業従事者の有効求人倍率は3.70倍で、当サイトが確認した中でも高いほうです。

ただし有効求人199,693件のうち、パートを除くと104,473件になります。48%がパートの求人ということです。

パートを除いた倍率は3.42倍。数字としてはまだ高いものの、0.28ポイント下がります。

対照的に、情報処理・通信技術者はパートの割合が2%で、除くと1.33倍から1.49倍へ上がります。

「パートを除く」は「正社員だけ」ではありません

ここは正確に書いておきます。

参考統計表9の区分は「常用(除パート)」です。パートタイムを除いた常用の求人という意味で、雇用形態が正社員の求人だけを抜き出したものとは限りません。

当サイトはこの2つの関係を一次資料で確認していないため、「除パート=正社員」とは書きません。ここで示せるのは、パートを含む数字と含まない数字が別物だということまでです。

読者にとっての実際的な結論

  1. フルタイムで探しているなら、パート込みの倍率は自分の市場を表していません。 特に介護・飲食・接客では差が出ます
  2. 職業を比べるときは、同じ区分どうしで。 ある職業のパート込みと別の職業のパート抜きを並べると、差が実際と変わります
  3. 「◯倍」を引用している記事は、どちらの表から取ったかを書いていないことが多いです。 出典のPDFと表番号まで示されているか確かめてください

この検算の限界

  • ハローワークの数字です。 転職サービスや求人サイト経由の求人は含まれません
  • 「除パート」と「正社員」の関係を確認していません。 上に書いたとおりです
  • 職業は当サイトが確認した20区分だけです。 全職業を網羅したものではありません
  • 1か月分の断面です。 月によって割合は変わります

まとめ

  • 職業別の有効求人倍率としてよく引用されるのは、パートを含む数字です
  • 職業計ではパートを除くと1.01倍から1.13倍へ上がります
  • ただし20職業のうち4職業は逆に下がり、いずれもパート求人の割合が高い職業です
  • 最も下がるのは接客・給仕職業従事者(-0.68)、最も上がるのは建築・土木・測量技術者(+1.28)です

数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。

出典

  1. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  2. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-08-13

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