「メーカーの技術職は安定」を、公的データで検算する
筆者は製造業の技術職ではありません。本記事は厚生労働省が公表している統計を確認・整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。
「メーカーの技術職は手に職だから安定」「製造業なら食いっぱぐれない」という説明があります。
厚生労働省の統計で確認したところ、「製造技術者」というひとつの区分の中で、水準がまったく違いました。
同じ「製造技術者」で、約2.5倍の差があります。
開発は1倍超え、開発以外は1倍割れ
開発は1.81倍で、全職業の1.01倍を上回っています。求人のほうが多い状態です。
一方、開発を除く製造技術者は0.72倍。1倍を下回っており、求人1件に対して約1.4人が探しています。
当サイトが確認した20職業のうち、1倍を下回っているのは4職業だけです。開発を除く製造技術者はその1つに入ります。
- 建設躯体工事従事者 7.85倍
- 土木作業従事者 5.97倍
- 保安職業従事者 5.85倍
- 建築・土木・測量技術者 4.96倍
- 建設・採掘従事者 4.80倍
- 機械整備・修理従事者 3.81倍
- 介護サービス職業従事者 3.70倍
- 医療技術者 2.92倍
- 自動車運転従事者 2.42倍
- 接客・給仕職業従事者 2.30倍
- 社会福祉専門職業従事者 2.28倍
- 飲食物調理従事者 2.19倍
- 営業職業従事者 2.01倍
- 保健師,助産師,看護師 1.86倍
- 製造技術者(開発) 1.81倍
- 情報処理・通信技術者 1.33倍
- 製造技術者(開発を除く) 0.72倍
- 会計事務従事者 0.56倍
- 事務従事者 0.35倍
- 一般事務従事者 0.28倍
- 職業計(全体) 1.01倍
前年比の向きは逆になっている
もう1つ、方向が食い違っている点があります。
| 職業 | 有効求人倍率 | 有効求人 前年同月比 | 倍率 前年同月差 |
|---|---|---|---|
| 製造技術者(開発) | 1.81倍 | -0.1% | -0.01 |
| 製造技術者(開発を除く) | 0.72倍 | +2.9% | +0.02 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.33倍 | -5.7% | -0.16 |
| 建築・土木・測量技術者 | 4.96倍 | -0.7% | -0.02 |
| 医療技術者 | 2.92倍 | +4.3% | +0.06 |
倍率が低いほうの「開発を除く」が+2.9%で、この表の中では唯一求人が増えています。倍率が高いほうの「開発」は-0.1%でほぼ横ばいです。
倍率の高低と、増減の向きは別の話です。 水準が低いほうが動いている、という組み合わせもあります。
求人の絶対数はどちらも少ない
見落としやすい点として、この2区分は求人の数そのものが小さいことを挙げておきます。
- 製造技術者(開発):15,132件
- 製造技術者(開発を除く):12,118件
- 情報処理・通信技術者:51,768件
- 建築・土木・測量技術者:59,378件
同じ技術者系でも、建築・土木・測量は3.9倍の求人数があります。
倍率が1倍を超えていても、母数が小さければ選択肢の数は限られます。倍率と求人数は分けて見る必要があります。
「安定」という言葉を分けて考える
この統計で言えるのは需給の比だけです。そのうえで整理すると、次のようになります。
- 開発職なら、求人のほうが多い状態です。 ただし求人数は15,132件で、多い部類ではありません
- 開発以外の製造技術者は、求職者のほうが多い状態です。 「技術職だから」という理由だけで需給が緩いわけではありません
- どちらも雇用の安定性(解雇されにくさ、勤続年数)を測った数字ではありません。 この統計に、その情報は含まれていません
「メーカーの技術職は安定」という説明は、どちらの区分を指しているかで当たり外れが変わります。
この検算の限界
- ハローワークの数字です。 製造業の技術職は転職サービス経由の求人も相当あると考えられ、市場全体を表すものではありません
- 「開発」と「開発を除く」の線引きは統計上の区分です。 実際の職務内容がこの2つに綺麗に分かれるとは限りません
- 倍率は求人の中身を反映しません。 給与、企業規模、勤務地、求められる経験は含まれていません
- 1か月分の断面です
まとめ
- 製造技術者(開発)は1.81倍、製造技術者(開発を除く)は0.72倍。同じ区分名の中で約2.5倍開いています
- 開発を除くほうは1倍を下回り、求人1件に約1.4人が探しています
- 前年比では、倍率の低い「開発を除く」のほうが求人が増えています(+2.9%)
- 求人数はどちらも小さく、建築・土木・測量技術者の59,378件とは規模が違います
数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。全職業の一覧は職業別の有効求人倍率にあります。
出典
- 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
- 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)
最終更新:2026-08-13
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